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フウキくんのお仕事 その1

「ねえ、リト」
「ふーきって何?」
「へ?」

進級後、委員長が春菜に決まり無事新クラスが始動したある日
ララは唐突にそんな質問をリトに投げかけた

「ほら、唯がいつも言ってるじゃない。ふーきふーきって」
「ああ、確かに言ってるな」

主に俺たちのせいで
とは言っても無駄だとわかっているのでリトはあえて言わない
毎度毎度、起こす騒動起こす騒動が唯の言うところのハレンチなことばかりなのだ
リトとて立派な男なのだから騒動に付随するお色気ハプニングが嬉しくないわけがない
しかしだ、学校や街中でそれが頻繁に起こるのでは一般的な神経を持つリトとしてはたまったものではない
そういう意味では唯の言いたいところは非常によくわかるのだが…

(注意してどうにかなるような奴じゃないもんなぁ、コイツ)
「ん? リトどうしたの?」
「いや、なんでもない…っと風紀の話だったな」

恐らくはララに理解させることが一番難しいであろう単語である
しかしリトは誠心誠意心を込めて説明をした
そうすることによってララが騒動を起こすことを自粛してくれるようになる可能性を僅かでも求めたのだ
だが、リトは甘かった
それをリトはこの翌日に思い知ることになる

「じゃーん! リト、見てみてー♪」
「…なんだこりゃ?」

翌日、結城家朝食の席でララが自信満面で差し出してきた『ソレ』をリトは訝しげな目で見つめた
『ソレ』はテレビくらいの大きさの円筒形の箱のようなものだった
サイドと下方からはそれぞれ手と足のようなもの…恐らくはアームだろうものが伸びている
正面には目と口、そして何故か目には黒ブチ眼鏡が装着され、首元(?)にはネクタイまで用意されている

「小型…ロボット?」
「うんっ! 名付けてフウキ君!」
「フウキ…くん?」
「そう、リトが昨日風紀について教えてくれたでしょ? それで作ってみたの!」
「なんで?」
「だって、唯一人が風紀を取り締まってるんでしょ? だからそのお手伝いをさせようと思って…」

なるほど、とリトは感心した
方向性はどうあれララの優しさによる産物であるのならばリトとしては文句はない
例えこのロボットがとんでもないものであっても
故に彼は言えなかった
風紀についてとやかくいう存在が唯一人なのは単に他の面子がララが起こす騒動に尻込みないしは諦めているからである
古手川も損な性分をしてるよなー
同情するリトだったが彼自身も十分その原因の一つであることを特に自覚していなかった

「んで、コイツはどういう役に立つんだ?」
「うん、この子は基本的に自立行動ができるから風紀倫理に従って風紀を守っていない人たちを注意したり取り締まったりするんだよ」
「へーってちょっとまて。風紀の基準はどうなってるんだ?」
「データ入力は先生にお願いしたから大丈夫!」
「…なら安心か」

ララ基準だったとしたらまた大惨事を招きかねない、と身構えていたリトはその言葉にほっとした
たまにはララも役に立つことするんだなーと何気に酷いことを頭の中で考えつつリトはコーヒーへと手を伸ばす
だが、彼は知らない
ララの言う『先生』というのが誰だったのか
かくして、この数時間後に起きる大騒動を未然に防ぐすべは失われてしまうのだった

「…ふっ」

ただ一人、未来を確信している蜜柑は我関せずとばかりにトーストをかじってはいたのだが

「さて、スイッチ・オン!」

カッ!
登校中、ララの手によってフウキくんに生命の息吹が吹き込まれていく
起動を果たしたフウキくんはゆっくりと立ち上がり、周りをサーチし始める
爆発したりしないだろうな? と少しばかり身構えていたリトはどこか拍子抜けしたようにその様子を眺めていた

「む!」
「ん?」
「そこの貴方! ネクタイが曲がっています! あと一番下のボタンを留め忘れていますね!」
「え、あ…」

リトが突然の怒声に怯んだ隙にフウキくんは素早くリトの服の乱れを直す

「これでよし」
「ああ…サンキュ」
「全く、身だしなみは風紀の基本! 日本男児たるもの身だしなみには気をつけてもらいたい!」
「ご、ごめんなさい」

フウキくんの迫力に何故か丁寧語で謝ってしまうリト
だが、一方でフウキくんの性能に感心する
見た目はアレだが、高性能じゃないか…

「申しおくれました。私の名はフウキくん、どうぞよろしく」
「よろしくねーフウキくん!」
「おお、創造主は流石に見事な制服の着こなし! 文句のつけようがございません!」
「えへへ、そう?」

ララを持ち上げるフウキくん
褒められたララは満更でもなさそうにくるりと一回転をする
ふわり、と遠心力で制服の短いスカートが持ち上がる

(レースの白…! じゃなくて、うわわっ!!)

突然の嬉し恥ずかしハプニングにリトは顔を赤らめつつ回れ右をする
こういったハプニングシーンに多々遭遇するリトだったが基本的には彼は紳士だった
ただ、瞬間的に見えてしまうものはどうしようもないので脳内に下着が焼きついてしまうのはいかんともしがたいのではあるが

「じー」
「ってオイ、フウキくん何をしてるんだ?」
「いえ、向こうの男子生徒の鞄から漫画の反応がありまして…こら、貴様っ!」

フウキくんはそう叫ぶと一目散に前方へと駆け出す
仕事熱心だね、と感心するララを尻目にリトは一欠片の疑問を抱いていた
それは

(アイツ…今、ララのスカートの中を見てなかったか?)

気のせいか、風紀を守るように作られてるのにそんなはずはないよな
そうリトは頭を振ると疑問を打ち消す

「どうしたのリト、早くしないと遅刻しちゃうよ?」
「いけね、走ろう!」

前方で男子生徒の鞄から漫画を強奪して注意するフウキくんを見つつリトとララは駆け出すのだった

「ねえ、結城君。聞きたいことがあるのだけれど」
「古手川? どうしたんだ?」
「あれは…何?」

唯が指さした先には女子生徒のお菓子を没収しているフウキくんの姿があった
お菓子をとられた女子生徒は当然ぶーぶー言ってはいるのだが、フウキくんの姿が可愛らしいためか本気で怒ってはいない
だが、極めて常識を大切にする唯からすればフウキくんの存在そのものがナンセンスである
故に不服ではあるものの、唯は最もわかりやすく説明をしてくれるであろうリトに話しかけたのだ

「あーあれか、あれはなフウキくんと言って…」

昨日のことも含めてリトは大雑把な説明を行った

「そう…」

唯はなんとも言えない複雑な表情を作る
また奇怪なシロモノを持ち込んできたララに対する憤りはあるものの、それが自分のためと聞かされれば表立っては非難できない
それに存在の非常識さを除けばフウキくんはよく働いているといえる
唯としてはその非常識さがどうしても受け入れることができないのではあるが…

「害はないようだし…ううん、ダメよ! 私が認めたら…」
「古手川、気持ちはわかるけどさ。一応ララもお前のためを思ってあれを作ったんだ、だからさ…」
「…わかっているわ」

キッとリトをにらみつけながらも唯は現状維持という結論に達した
本当はフウキくんを排除したくてたまらないのだが、自分以外は既に受け入れの体勢を整えてしまっているのだ
そこで自分ひとりがぎゃーぎゃー言っても仕方がない
それに善意からの行動を否定することもできない
唯は深い葛藤の末にフウキくんの姿を視界から除外するということで折り合いをつけるのだった

「悪いな」
「…ふん」

三時間目が終わる頃
フウキくんは特に問題を起こすでもなく順調に活動を続けていた
この頃になると唯もフウキくんを認めざるを得なくなり、ララに感謝の気持ちを表すのもやぶさかではなくなっていた

「しかし、この学校は実に風紀が乱れていますな」
「そうかな? ちょっとフウキくんが厳しすぎるような気が…」
(いえ、彼の言うとおり)
「これは心外な、私は風紀に基づいて行動しているだけ! すなわちそれは皆さんのほうに問題があると何故おわかりにならないのですか!」
「うっ、た、確かにそうなんだけど~」
(よくぞ言ってくれたわ!)
「私もつらいのです! しかし心を鬼にして私はこの学校の秩序を守らないといけない使命を与えられているのです!」
「あ、あはは…」
(フウキくん…!)

春菜、里紗、未央の三人をバッサリ言い負かしたフウキくんに唯は感動の視線を投げかけていた
今ではすっかりフウキくん擁護派である

「しかしいかんせんこの学校は広大。私一人では手がたりませんな」
「うーん、でも量産しようにも材料がないし…あ、そうだ! ブーストモードにすれば」
「ブーストモード?」
「うん、フウキくんの性能のリミッターを解除するの」
「おいおい、でもリミッター外すんだろ? 壊れたりしないのか?」
「大丈夫大丈夫、単にバッテリーの消費率が激しくなるだけだから、それに充電はバッチリだしね!」
「おお、それは僥倖! それでは早速お願い致します」
「おっけー、ぽちっとな♪」

ララはフウキくんの背中の隠しボタンを押す
すると、フウキくんの体中から蒸気が発生し、フウキくんの目がカッと見開かれた

「おおおお。キタキタキタキタ――!!」

傍目にも元気入りまくりといった感じでフウキくんは活性化する
そしてそのまま彼は教室を飛び出していくのだった

騒動、開始

昼休み
リトは購買に向かう最中、フウキくんを見つけた
フウキくんはある扉の前でじっとしている
何をやってるんだアイツ? とリトは怪訝に思いつつ声をかけようと歩み寄る
すると…

「えー、やだぁー」
「うっそ、本当?」
「あれ、アンタまた胸が大きくなってない?」
「グフフ…」

女子生徒の声と、不気味な笑い声がリトの耳に届く
リトは嫌な予感がし、上を見上げる
扉の上には『女子更衣室』のプレート

(まさか…)

リトはフウキくんの様子をよく見てみる
女子更衣室の扉は僅かに開いていた
そしてフウキくんはその前に立っている
結論、フウキくんは覗きをしている!

「おまえ、何をしてるんだ!」

持ち前の正義感――というか常識に従ってリトはフウキくんを止めようとフウキくんに近寄った
勿論、中に声が届くと大変なので小声である

「…ん? おお、これはこれは。結城殿ではありませんか!」
「おお、じゃねえよ! お前一体何をやってるんだよ!」
「見ての通り、女子更衣室を査察しておりますが」
「ノゾキじゃねーか!」
「失敬な。これはれっきとした風紀取り締まり行動です! 校則に反した下着を着けている女子生徒がいないか調べているだけです!」
「そんな言い訳が通るわけないだろ! いいからここから離れろ!」
「だが断る! このフウキくんが最も好きな事のひとつは正しいことを言ってるやつにNOと断ってやることだ…」
「アホか! い い か ら 離 れ ろ !」
「ぬっ、何をする! あっ、そこは触っちゃダメ!」
「気色悪い声をだすな!」

フウキくんをこの場から引き剥がそうとするリト
しかしフウキくんの抵抗も半端ではない
綱引きのようによいせこいせと力比べが行われる
だが、扉の前でこんなに騒いで中にそれが届かないはずがない

「あれ、なんか扉の外が騒がしくない?」
「まさか…覗き!?」
「ええっ、そんな!」

女子生徒たちが騒ぎ始める
当然、その声はリトにも届き――瞬間、リトは動揺のために力を緩めてしまった

「あ」

リトの手がフウキくんから離れる
リトは反動で尻餅をつき、フウキくんは勢いよく扉へと突っ込む
ドンガラガッシャーン!

「え?」

扉がフウキくんの突撃によって完膚なきまで破壊された
当然、尻餅をついているリトからは中は丸見えである
そして中の女子生徒たちも勿論リトの姿が見えている

「あっ、いや、これはその…!」

目の前に映る白、赤、黒、縞々といった色とりどりの下着の群れ
リトはそんな夢のような光景に顔を真っ赤にしつつ後退していく
だが、彼は行動を誤った
彼がすべきことは謝罪ではなく、速やかなこの場からの撤退だったのだ
そう、いつの間にかいなくなっているフウキくんのように

『き…』

一斉に女子たちが息を吸い込んだ
リトの顔が赤から青へと変化する
数秒後、リトは自己ベストの走りを憤怒に燃える女子たちに見せ付けていた

「はぁ…はぁ…はぁ…ひ、酷い目にあった…」

なんとか怒れる女子たちから逃れたリトは身を隠すように廊下の角に立っていた
下着姿の女子集団に負われている男子という構図は非常に目立ってはいたが、幸いにもそれを気にするものはいない
男子は眼福とばかりに顔を緩ませていたし
女子はまたか…とばかりに呆れと自分が被害に巻き込まれなかった安堵にほっとしていたのだから
必死に逃げるリトはそんな周囲の視線には気がつかなかったが、それは非常に幸せなことだったといえる

「くそ…アイツ、どこへいったんだ?」

そんなリトの怒りの矛先は当然のごとくフウキくんへと向いていた
言葉では立派なことを言っていたが、覗きは覗きである
本性(?)をあらわしたフウキくんを放っておくわけにはいかない
今までの経験上、この事態を放っておくと絶対ロクでもないことになるとリトは身にしみて確信していたのだ

「あら、結城リトではないですの」

そんなリトに声をかけたのはリトがよく知る先輩――天条院沙姫だった
あいも変わらずタカビー然とした態度と出オチオーラを放っている
付き人の眼鏡っ娘こと綾とポニテっ娘凛も当然のように後ろに控えていた
またややこしいのが…と、リトは自分の不運を嘆きつつ溜息をつく

「なっ…何をいきなり溜息などついているのですか! 失礼な!」
「こんちわ天条院センパイ。それじゃ」
「お待ちなさい! 何故いきなり立ち去ろうとしているのです!」

顔をあわせるなり逃げ出そうとするリトに憤慨する沙姫
至極最もな反応ではあるのだが、今までが今までなので一概にはリトを責めることはできない
現に綾はそれを認識しているらしくやれやれとばかりに首を振っていたりする

「凛! 結城リトを捕獲しなさい!」
「承知しました」

が、自覚のない沙姫はあっさりとリトの捕縛を決断
凛に命じると共に自身は腕を組んでホーホッホッホッ! と高笑いを始める
命じられた凛はどこからともなく木刀を取り出すとすっとリトにそれを突きつけた

「さあ、痛い目にあいたくなければ大人しくしなさい」
「なんでいきなり!?」

リトからすれば理不尽極まりない事態である
何よりもこんなところで時間を食っている場合ではないのだ
早くフウキくんを見つけ出さないといけない
リトは素早く身を翻すと迷わず逃げを選択した

「逃げた!? 凛、追うのよ!」
「はい!」

沙姫が言うのが早いか、凛は大きく飛翔すると木刀を振りかぶってリトへと肉薄
だが、その木刀がリトの体をとらえる前にリトの背後に一つの影が滑り込んだ
――ガギィン!

「なっ…」

凛の驚く声にリトは恐る恐る振り向く
そこで見た光景は、驚愕に目を見開く凛と綾
ひたすら高笑いを続けている沙姫
そして、自分を守るように凛の前に立ちふさがっているフウキくんの姿だった

「何者!?」
「ふ…名乗るほどのものではないが、教えてあげましょう! 我が名はフウキくん! 風紀を正す剣なりっ!」

ドドーン! と効果音つきでポーズを決めるフウキくん
リトは思わぬ助けに目を丸くしながらも状況を把握したのかフウキうんへと詰め寄った

「お、おい、お前なんでこんなところに…いや、ていうかなんで俺を?」
「ふ…結城殿が傷つくと我が主が悲しみますからね。決して先ほど女子更衣室に置き去りにしたことに罪悪感を感じての行動ではないですよ?」
「本音ダダ漏れじゃねーか…まあ、サンキュ」

呆れ顔と共にツッコミをいれるリトだが、一応窮地を助けてもらったのは事実なのでお礼をいうリト
だが、フウキくんはリトに顔を向けることなく凛及び沙姫と綾の三人組に鋭い視線を向けていた

「校則違反者達よ…懺悔の準備はできたか?」
「ちょ、ちょっとお待ちなさい! 私のどこが校則違反…」
「見目麗しい女子が木刀を振り回すなど言語道断!」
「これは沙姫様をお守りするためのもの! 断じて校則違反などではありません!」

いや、校則違反だろ
綾とリトのツッコミが同時に行われる
しかし睨み合う凛とフウキくんにはそのツッコミは届かない
ついでにいうとスルーされた沙姫の抗議もまるで届かない

「沙姫様の命を邪魔立てするようならば…」
「その剣で斬りますか、私を?」
「その通り。スクラップにされたくなかったらおどきなさい」
「ふっ…」

凛の発する裂帛の気合にもフウキくんは動ぜず、失笑するかのように一つ息をついた
剣豪同士の立会いのような緊迫した雰囲気
…これ、こんなマンガだったっけ? とリトは首を傾げた

「何がおかしいのですか」
「いや何、まだ気がつかないのかと思いましてね」
「え?」
「――もう、斬った」

某釣り目のチビ炎術師のように指の刃を収めるフウキくん
その言葉と同時に、凛の手の中の木刀が四分割されてボロボロと床に落ちていく

「そ、そんな!? いつ!?」
「先程の交錯の際にです。まだまだ修行が足りませんね?」
「くっ…ですが剣を失ったくらいで私は…!」
「いや、決着ですよ」

お前キャラ変わりすぎだ、リトが突っ込む間もなくフウキくんがパチンと指を鳴らす
瞬間、凛の制服が布吹雪となってはじけ飛ぶ

「ふ、飾り気のないシンプルな白か…だが惜しい。剣道少女の下着はサラシのほうがモアベター」
「あ…」

フウキくんの批評に凛は自分の格好を認識する
ボロボロに切り刻まれた制服の残骸が足元に広がっていた
身を守るものは下着二枚のみ

「り、凛…」
「ホーホホホ…あら、凛。なんで下着姿ですの?」

心配そうな声の友人と放置される寂しさに現実逃避という名の高笑いを続けていた主の声に凛は段々と顔を赤く染めていく
そして…

「あ…あ…き、きゃあああああああーっ!?」

普段の怜悧な表情はどこへやら
凛はふぇぇぇんと可愛らしい鳴き声と共にその場を逃げ出すのだった
「フフフ、次は貴女の番ですよ?」

ぴっと指を綾につきつけるフウキくん
相変わらず沙姫はガン無視である
当然、沙姫はキーキーとわめきながら抗議の意を示すがこの場の誰もそれを気にすることはなかった
綾がゆっくりと構えをとる
凛と同じく武術の心得がある綾だったが、先程の攻防を見る限り自分では勝てないことは百も承知だった
しかし、自分が負ければ沙姫に危害が(物凄い低い確率でだが)及ぶかもしれない
綾は不退転の覚悟で眼鏡をキラリと光らせた

「…私のどこが校則違反だと?」
「ふ、わかりませんか? では結城殿、説明して差し上げてください」
「いや、俺もわからないんだけど」
「なんと!? 一目見ればわかるではないですか! 貴方の目は節穴ですか!」
「そういわれても…」

リトは困ったように綾の姿を見た
綾は別段制服の着こなしがおかしいようには見えないし、アクセサリーをつけているわけでもない
髪を染めているわけでもないし、凛のように妙なものを所持しているようにも見えない
だが、フウキくんは確信しているらしく、怒りをあらわすとリトにもわかりやすいようにソコに指を差し向けた

「あれです! あの眼鏡ですよ!」
「え、眼鏡? 別に普通の眼鏡なんじゃあ…?」
「全然普通ではありません! あれは伝説の不透過眼鏡です!」
「…なんだそりゃ?」
「不透過眼鏡…それは本来の眼鏡の機能はちゃんと果たしているというのに、何故かつけている人物の目が描写されないというレアアイテム!」
「待て、その発言は色々アウトだ」
「眼鏡を外せば美少女! そんな太古のお約束のために生み出されたソレは…人類の損失を生み出しているのです!」
「…いや、それは一理あるけどさ」

クリスマスパーティーの時、一度だけ見た綾の素顔をリトは思い出す
確かに、あの時の美少女素顔を考えればフウキくんの言もあながち間違いとはいえない

「そうでしょう! 美少女が顔を隠すなど言語道断! そんなのはギャルゲだけでいいのです!」
「いや、そういわれましても眼鏡がないと私は…」
「コンタクトにすればいいだけの話!」
「コンタクトは…その、怖いですし」
「美少女なんだからそれくらい我慢しなさい!」

美少女美少女と何度も褒められたためか、少し顔を染めながら綾は顔を伏せた
だが、それは同時に致命的な隙を作ることになる

「隙あり! 一 刀 両 断 !」

指を刃化したフウキくんが勢いよく飛び上がる
そして指が振り下ろされた
綾の眼鏡が音もなく奪い去られる

「あっ!」
「眼鏡に罪はなし…」

眼鏡にはかすり傷一つつけることなくニヒルにフウキくんは綾から奪った眼鏡を口の中にしまいこむ
素顔をさらけ出された綾は、眼鏡を奪い返そうと一歩踏み出し…そして何かに足を引っ掛けてこけた

「あうっ!?」

ドテッとコミカルな音と共に綾が転倒する
綾は自分の足を引っ掛けたものを確認するべく足に引っかかるソレを持ち上げ、目の前に運ぶ
そしてソレは綾にとっては見覚えのあるひらひらとした布キレだった

「私の…ス、スカート?」
「眼鏡に傷をつけるわけにはいきませんでしたからね。代わりに制服を斬っておきました」
「斬るなよ!」

リトのツッコミが鋭く光る
しかし、綾は真っ二つとなった自分のスカートを掴んだままぷるぷると女の子座りで震えだす
綾は気がついていないが、制服の上もスッパリ斬られているのでブラジャーが露出している状態だったりする
フウキくんはそれを眺め、リトは慌てて回れ右をした

「黒か…白き肌との対比がよく映える。校則違反ではないが、ハレンチではありますね」
「え……ああっ!? いっ、いやっ、きゃああああ!」

フウキくんの言葉に綾は制服の前を両手でかきあわせて下着を隠す
だが、既にフウキくんもリトも見終わった後である
後の祭り――それがよくわかっていた綾はこれ以上ないほど顔を真っ赤にさせて俯き羞恥に震える
だが、そんな綾に近づく影があった
彼女の主人にしてひたすら放置されていた天条院沙姫である

「綾…」
「さ、沙姫様…」

優しい笑みで近づき、両手を伸ばしてきた主人に綾は瞳を潤ませた
ねぎらいの言葉をかけてくれるのだろうか?
それとも制服の上着を貸してくれるのだろうか?
期待に震える綾
しかし沙姫の両手は綾の肩を素通りすると、綾の両手を掴み、そのままガバッと綾の半裸を押し広げてしまったのである

「きゃあああ!? さ、沙姫様!?」
「アナタ、私よりも派手な下着を身につけているとはどういうことですの!?」
「え、ええっ!?」
「ただでさえ私よりも人気がでそうな要素ばかり持っているくせに、この上私の属性まで奪い取ろうというの!?」
「いっ、いえそんなことは…というか沙姫様、手を、手をお放しになってください~!」
「ええい、おだまりっこのツナマヨ! かくなる上は…奪い取る!」
「ツ、ツナマヨ!? というか…えええっ!?」

主人の宣言にビックリ仰天の綾
しかし沙姫は血走った目で綾の下着を脱がしにかかる
当然綾は抵抗した
いくら主人とはいえどもこんなところで下着を脱がされるわけにはいかない
そしてそんな美少女二人のキャットファイトをエロ親父そのものといった風情で眺める観客が一人いた
フウキくんである

「女の争いはいつ見ても醜い…ビジュアル的には美しいですが」
「なら止めろよ!」
「結城殿が止めればよろしいのではないですか? というか結城殿、いつまで目を瞑っているのですか?」
「う、うるさい! 見るわけにいかないだろ!?」

シャイなリトは手を伸ばせば届く距離で行われている女二人の揉み合いを目を瞑ることで見ていなかった
だが、目を瞑っても声は聞こえる
「だ、ダメです」とか「ほらほら、とれちゃうわよ」とか悩殺モノの声がリトの耳に届く
脳の片隅で理性が「お前が止めなければ誰が止めるんだ!?」としきりに叫んでいるがリトは動けない
巻き込まれるのは慣れてきたが、自分から騒動に突っ込むなどゴメンなのである

「やれやれ、仕方ありませんな」

背後からフウキくんの声
瞬間、リトは悪寒を感じた

「アリーヴェデルチ(さよならだ)」

ドン
フウキくんが容赦なくリトの背中を押した
目を瞑っていたリトは抵抗する間もなく前方へと押し出される
そして前方には絡み合う綾と沙姫がいた

「うわっ、うわわわわわ!?」
「え…きゃあっ!? 何!?」
「わぷっ! ゆ、結城リト!? 一体何の真似ですの!?」
「ではでは結城殿、しーゆーあげいん」

シュタ、と敬礼をリトに送りフウキくんは窓から飛び降りる
だが、ここでフウキくんを逃がすわけにはいかない
リトは立ち上がるべく手に力を込め――

ふにゅ

「ふにゅ?」
「あ…あああ…」

力を込めた右の手のひらに柔らかな感触
リトは嫌な予感に震えつつ恐る恐る右手をみた
そこには、綾の胸を掴んでいる己の右手の姿
しかも沙姫との乱闘で綾の下着がずれている
つまり、直接綾の生乳を掴んでいた
ぷにっとしたなんともいえない感触と共にサッとリトの顔へ血が集まっていく

「あうあ…これは、その…」
「結城リト、何故私ではなく綾の胸を!? 裏切ったな! 私の胸を裏切りましたわね! こういうのは私の出番ですのに!」
「いやーっ!?」
「あべらっ!?」

この期に及んでスルーされた怒りを込めた沙姫の右
生乳を掴まれたショックで繰り出された綾の左
その両拳は的確にリトをとらえ――そしてリトはフウキくんの後を追うように窓から空を舞った

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