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フウキくんのお仕事 その2

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「いてて…」

頭にこしらえた大きなタンコブと赤くはれた頬をさすりつつ、リトは起き上がる
綾と沙姫のWパンチをくらい、落下したのも束の間
リトは着地地点にあった硬い何かと頭が激突
数分間気絶していたのである

「うわ、こりゃかなりでかいタンコブだな…しかし何か金属っぽかったような気がするけど…?」

タンコブを撫でさすりながらリトは歩き出す
痛みはひかないが今はフウキくんの捜索が第一、多少の痛みには構っていられない
決意を強めたリトは中庭へと向かう
すると、女子の悲鳴が聞こえてくるではないか――しかも複数
瞬間、リトの脳裏に嫌な予感が走った

「きゃああぁ~!」
「いやぁぁん!」
「なんなのぉ~!?」
「げっ…!」

現場に到着したリトは顔を真っ赤に染めて狼狽した
そこは、阿鼻叫喚地獄にして天女の楽園だった
切れ端となった制服を足元にちりばめ、肌もあらわな下着姿でぺたんと座り込んでいる女子たちの群れがリトの視界に飛び込んでくる
皆ボロキレとなった制服をかきあわせるようにして下着姿を隠そうとしているものの
原形をとどめていない制服では肌を隠すという役割はとても果たせていない
むしろ半裸で布の切れ端を抱くという姿が扇情的な姿を作り上げている
ちなみに、男子も数人いるにはいるのだが、何故か皆一様に気絶していた

「あわわわ…」

悲鳴の大合唱の合間から聞こえてくる非難の声で惨状の原因がフウキくんの仕業だということをかろうじて理解する
リトは極力女子たちを視界におさめないようにしつつ前へと進む
幸い、女子たちは自分たちのことで精一杯なのかリトには気がつかなかった

「――きゃあああ!」

半裸女子の群れを抜けたあたりで一際高い悲鳴が茂みの向こう側からリトの耳に届く
そしてその声が聞こえた瞬間、リトは走り出した
何故なら、それは自分の想い人の声だったのだから

「この声は…春菜ちゃん!?」

茂みを突破し、音源の場へと駆けつけたリト
そこには、下着姿にひん剥かれて大の字に気絶して転がっているリサミオコンビ
フウキくんと対峙しているララ
そして、ララの後で縮こまっている春奈の姿があった

「ララ! 春菜ちゃん!」
「あっ、リト!」
「ゆ、結城くん!? 来ないで!」

歓喜と拒絶という相反する反応にリトは戸惑う
ララが喜んでいるのはいいとしても、春菜の反応は明らかにおかしい
助けに来たつもりだったのに、当の本人に来ないでと言われてはリトとしても困る、というか悲しい

(ていうか俺って嫌われてるのか?)

ずーんと落ち込むリト
しかし、敵(?)を目の前にしてひくわけにはいかない
少々下がったテンションをなんとか維持しつつ、リトは一歩踏み出してフウキくんをにらみつけた

「おい! どういうつもりだ!」
「はて、どういうつもりとは…どういうことですかな?」
「とぼけるんじゃねーよ! お前、一体皆に何をしてるんだ!? 風紀とは全然関係ないじゃないか!」
「関係ないとは失礼な、私は単にランジェリーチェックをしているだけです!」
「せ、制服を切り刻む必要はないだろうが!」

フウキくんの台詞に先程の光景を思い出し、どもってしまうリト
だが、フウキくんはそれを意に介さずはんっと溜息を一つつく

「効率重視です! ランジェリーをチェックするのならば制服を脱がすのが一番早い!」
「アホか! 犯罪だぞ!?」
「風紀を守るためには些細な犠牲はやむなし!」
「め、滅茶苦茶なことを…おいララ、一体コイツはどうなっちまったんだ!?」
「うーん…リミッターを解除したせいかな?
でもそれにしたってこんな風になるわけが…強いショックでも与えたんならともかく」
「強いショック?」

ララの推測にリトは嫌な予感を覚え、フウキくんをじっと見つめた
よく見ると、フウキくんの頭の部分に丸いへこみができている

(まさか…)

落下時にぶつかった何か
それはフウキくんだったのではないか?
リトは青ざめた
この推測が正しければ、この一連の騒動の原因は自分にあるということになる

「あれ、どうしたのリト。まるで石像みたいだよ?」
「ふ、他人の心配をしている場合ですかな創造主?」
「む、リトの心配をするのは当たり前だよ! それよりもフウキくん、メンテナンスしてあげるから大人しくしなさい!」
「だが断る! 創造主のお言葉といえども、今の私の燃え滾るパトスは止められないのです!」
「なら実力行使っ、ええーい!」

ララが威勢のいい掛け声と共にフウキくんに飛び掛る
が、フウキくんもそれは予測していたのか素早く迎撃体勢を取る
交差する拳と拳
そして、人外バトルが始まった

「そ、そうだ…春菜ちゃんを今のうちに」

完全に場においていかれていたリトが正気に戻る
フウキくんの暴走の原因に自分が関わっているのならば、なんとしてもこれ以上の被害の拡大は防がなければならない
しかし、ララとフウキくんの人外バトルに割り込むというのは流石に無理がある
ならば、せめて春菜ちゃんを守らなければ!
決意を固めたリトは砂塵巻き起こるバトルフィールドを横切り、春菜の元へと駆けつけた

「大丈夫、春菜ち――ってうわっ!?」
「だ、駄目! 結城くん!」

春菜の傍に辿り着いたリトの頭からぼしゅ、と湯気が噴き出される
その理由は目の前に広がる光景にあった
そう、春菜はスカートをはいていなかったのだ
そしてそれが春菜がリトを遠ざけたかった理由でもあった
ちなみに、スカート消失の犯人は言うまでもなくフウキくんである

「み、見ないで結城くん…!」

春菜は上の制服を下に引っ張り、なんとか股間を隠そうとする
だが、当然そんなことで下半身を隠しきれるはずはなく、制服の裾からはチラチラとピンクの布がはみ出ていた
足は内股気味に閉じてもじもじとすりあわされ、可愛らしさといやらしさを同時にリトに与える
数秒、リトの思考回路が停止状態となった

「うぅっ…」

そんなリトの様子を上目遣いで見やりながら春菜は羞恥に震える
彼女としてはこの場から逃げ出して着替えたいのはやまやまなのだが、スカートなしでこの場から動くのは恥ずかしい
となるとララに服を取ってきてもらうしかないのだが、彼女は今絶賛バトル中だった

(で、でも…結城くんに頼むわけにも…)

だが、流石に男のリトに服をとってきてくれとはいえない
何せ代えになるのは短パンだけなのだ
リトに取りにいかせれば彼が変態のレッテルを貼られてしまう
春菜は困り、とりあえず固まったままのリトの視線から逃れるように後を向いた
当然、ピンク色の下着に包まれた丸いお尻が全開となるが、焦っている春菜は気がつかない
リトの硬直時間が延びるだけであった

一方、ララとフウキくんのバトルは膠着状態に陥っていた
共にとんでもないレベルの戦闘能力を持つ二人である
木は倒れ、葉は飛び散り、地面はえぐれる

「もうっ、いい加減大人しくなりなさーいっ!」
「創造主こそオテンバが過ぎますぞ! そのようなことでは嫁の貰い手がなくなってしまいます!」
「リトにもらってもらうからいいもん!」

もらわねーよ!
と通常ならばリトのツッコミが入るところではあるが、彼は今思考停止状態で春菜のお尻に見とれている最中だった
普段の太陽のような明るい笑みを真剣な表情に変えてララはフウキくんを捕獲するべく拳を繰り出す
だが、フウキくんもさるもの
的確にそれを避け、捌き、いなしていく

「むう、やるねフウキくん!」
「創造主こそ…しかしここで時間をとられるわけにはいきません。まだあの女子のブラジャーを確認していませんからな!」
「春菜には手を出させないよ!」
「ふむ、創造主に手を出すのはいささか遺憾ではありますが…やむを得ません、弱点をつかせていただきます…」

言うが早いか、フウキくんの姿がララの視界から消える
瞬間、ララは背後に生まれた気配を察知し、振り向こうとして

「ひゃあん!?」

悲鳴を上げた
ララの背後に移動したフウキくんの手はしっかりとあるものを握っていた
そう、ララの尻尾である

「ふふふ、ほれほれ」
「あっあっ…だめ…」
「こちょこちょこちょ」
「あはっ、はっ…あんっ…」

悩ましい声をあげながらララはふにゃふにゃと力なく倒れていく
ララの尻尾は性感帯であり、そこを弄られてしまうと力が出せなくなる
それは確かに弱点と呼べるものではあったが、何故フウキくんがそれを知っているのかは謎である

「よっこらしょっと」

フウキくんはララの懐から取り出したくるくるロープくんでララを縛り、念の為気絶させるのだった

邪魔者(ララ)を排除し終えたフウキくんは春菜を脱がすべく跳躍した
だが、幸運にもそれが我に返ったリトが春菜から目を逸らすべく反転したタイミングと一致する

「…!? 危ない春菜ちゃん!」

リトは決死の覚悟で仁王立ち
戦闘力の差は歴然であるが、好きな女の子を守るためである、彼に躊躇はなかった
が、現実は無情である
リトはあっさりと頭上を飛び越えられてしまうのだった

「はーっはっはっはっ! ブラ・チェーック!」
「えっ、あっ!? こ、来ないで!」
「くそーっ!」

春菜の悲鳴にリトは根性を振り絞って駆ける
だが、やはりそれも数歩届かない
リトの目の前で春菜の上着がバラバラに切り刻まれ、宙に舞う
フウキくんはリトを嘲るように、満足気に頷いた

「ピンクの上下のおそろい…うむ、実にいいですね。やはり王道はシンプルに限ります」
「あ…キャアッ!」

下着姿を晒された春菜が他者の視線から逃れるべく身を軽くよじり
身体を隠すために両手を胸と股間に伸ばす
だが、リトはそんな春菜の艶姿を目に入れることなくフウキくんに飛びかかった
春菜を守れなかったのは痛恨であったが、フウキくんの動きは止まっている
今がチャンス…! リトはそう考えたのだ
決して、春菜の半裸姿を直視できなかっただけという情けない理由ではない、多分

「もらったぁぁぁ!」
「甘いですよ」
「へ…?」

あと数センチで胴体を掴めるというところでリトは目標を見失った
そして次の瞬間、リトの片足が何者かに軽く払われる
身をかわし、横に回ったフウキくんの仕業だった

「う、うわっととと…!」

前につんのめりながらもコケまいとバランスをとろうとリトは奮闘する
だが、全力ダッシュの反動で前方への推進力は失われない
コケそうになり、自分を支える何かを求めリトは思わず前方へと両手を突き出した

――むにっ

リトの手が、何かを掴んだ
それは柔らかく、男の本能を刺激してやまない感触だった
そしてリトにはその感触に覚えがあった
そう、それはついさっきにも味わった綾の胸の感触と同じ…

「ま、まさかこれは…」

身体を硬直させ、おそるおそる視線を上げるリト
そこには、呆然とした表情でこちらを見る春菜の顔と
彼女の胸をピンク色のブラごしにわしづかみしている己の両手があった

「う、うわわわっ!?」
「ゆ、結城くん…あ…え…?」
「ち、違うんだ春菜ちゃん、これは!」

首から浮かび上がるように赤く染まっていく春菜の顔
対照的に真っ青に染まったリトは混乱の中、それでも己の取るべき行動を察して手を離そうと

「足元がお留守ですよ?」

――して、再度足を払われた
さて、ここで問題である
前のめりという不安定な体勢で足を払われたリトは当然うつぶせにコケる
しかし彼の両手は春菜の胸を掴んでいる
勿論、春菜の胸は水準レベル以上の大きさではあるがリト一人を支えられるほどではない
(問い)では、この一秒後どういう事態が起こるのか?

「あだっ!? …ん、なんだこれ…?」

顔から地面に突っ込んだリトはぶつけた鼻をさする
そしてふと気がつく
鼻にあてている手が布っぽい何かを掴んでいる
リトは好奇心の赴くままその何かを広げた
それは、ピンク色のシンプルなデザインのブラジャーだった

「うえっ!?」

ドキーン!
驚愕に心臓を跳ねさせ、リトはブラの向こう側へと視線を向けた
そこには、ブラとおそろいのピンク色のパンツがある
視線を上げた
可愛らしいおへそとくびれた腰が見える
更に視線を上げた
ぷるぷると外気に晒されて震える二つの山――つまりはおっぱいが見える
少し躊躇して、更に視線を上げた
自分を真っ赤な顔で見下ろしている春菜の顔が見える
リトはこの瞬間、自分の所業を理解した
(答え)春菜のブラが剥ぎ取られる

「おっぱい! おっぱい!」
「うわーっ!?」
「えっちーっ!」

バチーン!
フウキくんが妙な手振りを開始すると同時
弁解する間もなくリトは春菜のビンタを喰らう
ゆっくりと崩れ落ちていくリト
だが、彼は倒れる瞬間に限っては確かに幸福を感じていた
何故ならば、ビンタによって大きく揺れた春菜の双丘がはっきりと拝めたからである
リトは地面に這い蹲る瞬間、右手を天に向けて燃え尽きる大男の姿を幻視した

「あ、ゆ、結城くん!?」

ビンタをクリティカルヒットさせてしまった春菜は慌ててリトに駆け寄る
流石にリトが心配なのか、自分の身体を隠すことなくリトの様子を窺う春菜
四つん這いになって覗き込んでいる体勢なので、もしもリトの目が覚めればさぞ刺激的な光景を拝めるであろう
そしてフウキくんはそんな二人の様子を満足気に横目で確認し、次の獲物を求めその場から立ち去るのだった

「あ、頭が重い…」

ふくれたタンコブ、そして大きく腫れた両頬を交互にさすりつつリトは校内を走っていた
春菜の服とララを縛るロープを切断する刃物を調達するためである
あの後、目を覚ましたリトは平身低頭で春菜に謝った
それはもう必死に謝った
事故とはいえ、下着姿を見て、胸を掴んで、挙句の果てにブラを剥ぎ取って生おっぱいを見てしまったのだ
普通に考えれば許されざる暴挙だが、謝る以外にリトに道はなかった
だが、春菜はあっさりとリトを許した
気になる男の子のしたことだから、という部分もあるのだが
これは元々自分を助けようとして起こった結果なのだ
優しい、悪く言えば人の良い春菜にはリトを責めることができなかったのである
頬を赤らめ、そっぽをむいている春菜はリトからすれば許してくれているようにはとても見えなかったのだが
彼女は下着二枚だけの姿だったのだからその態度も当然ではある
勿論、そんな乙女心をリトが察するはずもなかったのだが…

(春奈ちゃん、待っててくれよ!)

リトから見て、言葉の上でだが春菜の許しは得た
だが、侘びが言葉一つというのもリトとしては気が引けたし、それは非常に情けない
故にリトは応急処置として制服の上着を春菜に貸し、代わりの服を調達するべく校内へと戻ったのである
ちなみに、ララは縄が解けないため気絶したまま放置され
リサミオコンビはララと共に春菜の介抱を受けている

「購買…はないか。うーん、職員室なら制服の二、三着は貸してもらえるか?」

勢い込んで走り出したものの、アテのないリトは一縷の望みをかけて職員室へと向かう
道中の光景は悲惨の一言に尽きる
廊下に横たわる下着姿の女子と頭にタンコブを膨らませた男の群れ、群れ、群れ
少数ではあるが、下着すらはがされ丸裸にされている女子すらいる
おそらくはフウキくんのチェックにひっかかったのだろう
それにしても、とリトは思った
何故被害は女子のみなのか?
見た限りでは男には被害はない
気絶こそさせられているが、何かを取られているわけでもないし、当然制服も脱がされていない
まあ、リトとしても男の半裸など見たくはないので正直どうでもいいといえばどうでもいいのだが

「…ん?」

職員室は次の角を曲がれば、というところでリトは立ち止まった
わめくような女の声が聞こえてきたのだ
まさか先生たちまで…!?
戦慄したリトは曲がり角からゆっくりと向こう側の様子を窺う
そこには、正座している校長と、その前に仁王立ちして怒りをあらわにしている古手川唯がいた

「全く、貴方という人は! 校長先生ともあろう者が覗きなどして恥ずかしくないんですか!?」

校長を正座させて説教をする一生徒こと古手川唯は憤っていた
フウキくんの予想外の活躍に気分が上昇したのも束の間
校長が職員用女子更衣室を覗いているのを発見してしまったのである

「生徒の模範であるべき教師が…」

気分が良いところを叩き落されただけに唯の機嫌は急直下
唯は校長の性根を叩きなおすべく普段の三割増の声量でガミガミと叱る
だが、校長は慣れているのか一向に堪えた様子はない
それどころか、何故か恍惚とした表情ですらある

「聞いているのですか…え? ひっ!?」

そこで唯ははたと校長の様子に気がつき、そして一歩ひいた
美少女に叱られて恍惚としている中年男
ビジュアル的にも道義的にも即効でアウトな光景である
唯が生理的嫌悪を催すのも無理はない
しかし、校長は唯がひいた分だけ正座状態のまま前進

「うへへ…」
「ひぃっ!?」

校長の器用な動きに流石の唯も恐怖心を抱く
だが、校長は意に介した風もなくじっと唯を見上げながらニヤニヤとだらしない笑顔を浮かべていた
恐怖のあまり逃げ出したい衝動にかられる唯
だが、風紀を守るという矜持が彼女の背を支えた
ひいてなるものかと一歩前進しなおす
そして、気がつく
校長は後退しなかった

「…あっ!?」

唐突に唯は全てを察した
校長の視線は唯の顔を向いていない
彼の視線はそれよりも下、すなわちスカートの中をじっと見つめ続けていただけなのだ
確かに、正座をしている校長は仁王立ちしている唯のスカートの中を覗くのに絶好のポジションを取っているといえる
それを理解した唯は慌ててスカートを押さえ、バックに跳躍して校長から距離をとった

「なっ…なっ…なっ…」
「あーん隠さないで~!! ギブミーパンチラ~♪」

ガサガサとゴキブリのようにはって唯へと近づいていく校長
非常に気持ちの悪い光景だが、唯は今度は怯まなかった
いや、それどころか彼女の心の中は羞恥と怒りで満タンだったのだ

「このーっ!!」
「ギャーッ!?」

そして次の瞬間、唯のチョッピングライト(打ち下ろしの右)が校長の顔面を的確に捉えるのだった。

「え、えーと…」
「…結城くん?」

校長の身体が派手にバウンドするのを尻目に、リトはおずおずと姿を現す
一連の流れを見ていただけに非常に気まずいものがあるのだが、職員室に用がある以上引き返すわけにも行かない
自業自得とはいえ、校長の姿は過去の自分で未来の自分なのだ
リトが及び腰になるのは当然であった

「どうしたの、職員室に何か用事でも?」
「あ、ああ、そうなんだ。ちょっと制服を…」
「制服? 別にどうもなっていないじゃない?」

怪訝そうな唯の表情にリトはほっとした
この様子だと彼女はフウキくんの被害にはあっていない
そして、今起きている騒動も把握していないと察したのだ
無論、事態の発覚は時間の問題ではあるのだが…

「あ、いや、ちょっとな…」
「…?」

まさかクラスメートが脱がされたから制服を貸してもらおうとしてるんだとはいえるはずがない
だが、歯切れの悪いリトに唯は不信感を持ったようだった
彼女はリトを問いただすべく一歩踏み出し
そして、目を見開いた

「フウキくん?」
「へ?」

唯の声に振り向いたリトは自分がついさっきまでいた曲がり角から出てくるフウキくんを見た
そして、血の気がひいた
リトの目の前には女子、つまり唯がいる
フウキくんがターゲットを逃すはずがないのだ
義理が特にあるというわけではないが、目の前でこれ以上女の子を脱がせるわけにはいかない
リトはすぐさま迎撃体勢を取ろうとし、そしてあっけにとられた
フウキくんはリトはおろか唯すらスルーし、校長に近寄っていったのである

「父上!」
『えーっ!?』

リトと唯の驚きが廊下に響く
今、確かにフウキくんは校長に向けて父上といった
一体どういうことなんだと訝しがる二人
フウキくんはそんな二人の心を読んだのか、説明を始める

「ふ…私のデータ入力はこのお方にやってもらったのですよ」
「はあっ!?」

リトはフウキくんの説明に驚くとともに、納得した
なるほど校長のデータなら女子を襲って男子を襲わないことにも説明がつく
一方、唯は多大なショックを受けていた
やっと見つけたと思った同士の親(?)がよりにもよってセクハラ校長だったのだから

「う、う~ん?」
「おお、お目覚めになりましたか父上!」
「うん? おおっ、君はフウキくんではないか! 私の教えは守っているかね?」
「はっ、勿論です父上!」

がしっと握手しあう二人に呆然とするリト&唯
認めたくない現実に心が飛んでしまったようだった

「ところで父上、そのお怪我は?」
「う、うむ、それは…」

チラリ、と唯へ視線を向ける校長
すぐさま唯が睨みを返すがフウキくんが事態を理解するにはそれだけで十分だった

「なるほど…古手川嬢が父上をこんな目に?」
「そ、それは校長先生が…」
「だまらっしゃい! いかな理由があろうとも目上の、それも教師に手を上げるなど言語道断!」
「うっ…」
「よって罰を与えます! 性的な意味で!」
「ええっ!?」
「素晴らしい!」

ビシィ! と指をさすフウキくんに驚く唯とリト
校長は一人喜んでいる
恐らくこの後の展開を読んで期待に打ち震えているのだろう

「とぉーう!!」

唯に襲い掛かるべく跳躍するフウキくん
だが、リトも黙ってそれを見ていたわけではない
素早く傍にあった消火器を掴むと、フウキくんへと投擲したのである

「くらえぇーっ!!」

「微温い微温い微温い!」

今までの恨みのこもった渾身の投擲
だが、フウキくんはいともあっさりと消火器を迎撃した
しかし、それがリトの狙いだった
ぼんっ!
消火器の破壊とともに粉塵が廊下を覆う

「なっ、これは…!」
「へっ、これなら目が見えないだろ! 古手川、逃げるぞ!」
「えっ、ちょっと結城くん! 手、手が…!」

いきなり掴まれた手の感触に唯は赤面する
潔癖気味なところがある彼女は男にあまり免疫がないのである

「いいから! ここにいたら脱がされるぞ!」
「脱が…え?」

手に全意識を集中していたためか、唯はリトの言葉を聞き流していた
だが、それが彼女の明暗を分けることにある
一歩の始動の遅れ
だがそれはフウキくんにとっては十分な時間だったのだ

「神風の術ーっ!!」

フウキくんの口から扇風機のようなものが現れる
そして回りだしたプロペラが風を起こし、粉塵を窓の外へと押しやっていく

「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
「青か…」

突然の風に驚き、粉塵に目を閉じる二人
ちなみに校長は全く驚くことなく平常心で風で捲れた唯のスカートの中を凝視している
大物であった

「はっ!!」

その隙に接近したフウキくんの腕がシュッシュッと振るわれる

「また、有意義なものを斬ってしまった…」
「は…」
「え?」

唯とリトが目を開けた瞬間、唯の制服は例によってはじけとび
そして、唯の悲鳴が至近距離でリトの耳を打つのだった

「さあ、入ってくれたまえ!」

何故か嬉しそうに校長室の扉を開いた校長にリトと唯は不吉な予感を感じていた
あの後、羞恥のあまり唯がしゃがみ込んだ隙にフウキくんは逃走
勿論リトは追いかけようとした
が、手をつないだままだった唯に(偶然にも勢いで)関節技をかけられてしまい、追うに追えなかったのである
残されたリトは恥ずかしさのあまり今にも泣き出しそうな唯を見捨てることができなかった
一応気休めにと自分のワイシャツを貸したものの、とても制服の代わりにはならない
さてどうしたものかと悩みかけたその時にリトに声をかけたのは校長だった
いわく「私に任せたまえ」と…

「さあ、好きな服を選んでくれたまえ!」

バーンと勢いよくクローゼットが開かれた
ちなみに、このクローゼットは何故か校長室の片隅においてあったものである
だが、リトと唯はそれを気にすることはなかった
何故ならば…

「な…」
「なんだこりゃ!?」

放心したような唯の声とリトの驚愕した声が唱和される
クローゼットの中は一面服だらけだった
いや、それ自体はおかしなことではない
しかし、服の種類が異常だった
ナース服、チャイナ服、メイド服、ゴスロリ、スクール水着…
いわゆるコスプレ用の衣装ばかりだったのだ

「どうかね、私のコレクションは! さあ、遠慮なく好きなものを着たまえ!」
「ふ、ふざけないで下さい校長先生っ! こ、こんな服着られるはずが…!」
「えー、似合いそうなのに」
「冗談は存在だけにしてください!」
「え、存在否定された!?」

がーんとショックを受ける校長を尻目にリトはクローゼットの中を興味深げに眺めていた
彼も健康な一青少年である
想い人である春菜がこれらの衣装を身につけたら可愛いだろうなぁ…くらいの想像はする

(メイド服で春菜ちゃんに『ご主人様』とか言われたら…はっ、駄目だ駄目だ! 俺は何を考えて…)

無論、性根がヘタレ――よく言えば純情な彼にはこの程度が限界ではあるのだが

数分後
一通り校長に説教をし終えた唯はクローゼットを物色していた
中にはまともな衣装もあるかもしれないと一縷の望みを抱いたからだった

「な、何故この服には鞭と蝋燭がついているの…? こっちのは、何よ…このヒモだけの水着!?」

女王様ボンテージとあぶないみずぎを手に取った唯は顔を真っ赤に染める
既に数十着の物色が完了しているが、クローゼットからはロクな衣装が出てこない
中には今のように唯には理解不能なものすら出てくる始末
今度、風紀委員総出で校長室の査察をしようと唯は固く誓う
なお、ゴスロリはちょっと着てみたいなと思ったのは古手川唯一生の秘密である

「まだかー、古手川」

一方、手持ち無沙汰なリトはお茶を飲んでいた
元々の目的は服の入手だったのでついでに春菜たちの分まで服を用意してくれと唯に頼んだのである
だが、選別が始まってみれば唯が憤っているようにロクな衣装がでてこない
無論、唯が厳しすぎるだけでリトからすれば幾つか問題なさげな衣装はあったのだが
唯の勢いを見ているととても口が挟めない
待つしかないか…そうリトが心の中でぼやいた時、彼の視界でもぞりと小柄な影が動いた
校長である

「校長先生、何を――むぐっ」
「しっ!」

校長はリトの口をふさぐと同時に「静かに!」のサインを出し、そっと指を唯の方へと指した
リトは何事かと指の指す方へ視線を向け

「ぶっ!?」

お茶を吹いた
そこには、ふりふりと揺れる二つの桃
すなわち、唯のお尻があった

リトは首から異音が発せられるにも構わず首をぐるんと曲げ、視界を変えた
実にヘタレ――いや、紳士な男である

「な…」
「しっ! 声は小さく!」
「あ、す、すみません…じゃなくて! 一体何を…」
「フフフ…君もやるじゃないか、あんな演出をするなんてね!」
「は? 一体なんのこと…」
「あれだよ、あれ」

校長は唯のお尻を再度指差した
今現在、唯の身につけているものは下着とリトの貸したワイシャツだけである
平均的な男子高校生の体格のリトのワイシャツは唯の身体をすっぽりと覆っているものの、所詮は上着
お尻と股間はかろうじて隠せているが、太ももはバッチリと露出していた

「くう…裸ワイシャツとは、盲点だったっ!!」
「裸じゃないですよ!」

リトが微妙にピントのずれた抗議をするものの、校長の興奮は止まらない
見えそうで見えないワイシャツのシルエットに隠されたパンツ
完全に露出された足
ふりふりと揺れ動くお尻
それは正に男のロマンともいえる光景だったのだったのだから

「良い仕事だよ結城リトくん! 正にGJ!」
「お、俺はそんなつもりじゃ…!」

慌てて弁解しようとしたリトはうっかり手に持っていた湯飲みを手放してしまう
宙を舞う湯飲み(熱い緑茶入り)
そして、逆さまになった湯飲みは寸分違わず――だらしなく顔を緩めながら唯のお尻を観察する校長の頭に着地した

「あ」
「…うわっちゃー!? 頭が燃えるように熱いっ!?」

熱いお茶をモロにかぶった校長はゴロゴロと床を転がる
が、校長室はそれほど広いわけではない
校長はお約束のごとくテーブルの足に頭をぶつけ、そして沈黙するのだった

「校長先生!? 結城くん、何があったの!?」
「な、なんでもない!」

これだけ騒いで唯が反応しないはずがない
かけられた唯の言葉にリトは動揺しつつも返事を返した
実際はなんでもあるのだが、まさかあなたのお尻を眺めてたらこうなりましたなどといえるはずがない
だが、唯もそんなわかりやすい嘘を鵜呑みにするわけがなく、物色を中断するとリトへと近づいていく
リトの背筋に冷たいものが走った

「なんでもないはずがないでしょう!?」
「そ、その、事故、事故なんだ! 湯飲みが滑って、それで…」

一応嘘はついていない
だが、そんなことで納得するはずもなく、唯は更にリトへと詰め寄る
そしてその瞬間、リトの顔が真っ赤に染まった
接近したことによって唯の胸の谷間が見えてしまったのだ

(うわ…!?)

前述の通り、リトのワイシャツは平均男子の着るものと同じである
当然、平均的体格の女子である唯がそれを着ればぶかぶかになる
ぶかぶか――つまり、胸元が空くという事だ

「い、いや、だからその…」
「結城くん!?」

邪な気配を感じたのか、唯は更にリトへと詰め寄り、下からリトを見上げるような格好をとる
だがこのアングルはリト的には非常にまずかった
唯自身は全く気がついていないが、胸元が非常に強調されるようなポーズなのだ
しかも、下着もチラチラとはみ出して見える
たまらず、リトは顔を背けた

「何故顔を背けるの!?」
「え、いや、その…(ていうか気づけよ!)」

胸の谷間が見えるからです、といえないのが結城リトという少年だった
しかし唯はそんなリトに構わず問い詰めを続ける
もう駄目だ――
リトが観念して正直に話そうと天井を見上げ口を開こうとしたその瞬間

ピシリ…ピシッ、ピシッ!

天井がひび割れを始めた

「な――!」
「どうした――キャッ!?」

急に変わったリトの顔色に眉をひそめようとした唯はリトに突然抱きかかえられて悲鳴を上げた
唯はその潔癖気味な性格のためか恋愛関係に疎い
故に誰かと付き合ったことなどあるはずもなく、そもそも男子と関わること自体が少なかった
そんな彼女がいきなり同年代の男に抱きしめられたのだ
それは先ほどの手を握られた時のショックの比ではない
瞬間、唯の顔が真っ赤に、思考が真っ白に染まる

「な、何を――」
「うわああっ!?」

数瞬後、我に返った唯がリトを批難しようと口を開くと同時にリトは唯を抱えたまま跳躍した
天井が崩れ落ちてきたのだ

ズドォォン!

物凄い音共に校長室にガレキが降り注ぐ
リトは必死に唯を庇うべく彼女を抱きしめた
永遠ともいえる数秒間
だが、リトが目を開けた瞬間、彼の目に映ったのは意外にも大したことのない被害の校長室だった
どうやらガレキの量は少なく、細かかったようだ
まあ、校長秘蔵のコレクションの詰まったクローゼットは運悪く完全破壊されていたのだが

「な、なんなんだ一体…」

もうもうとたちこめる煙に顔を顰めながらリトは状況を把握するべく周囲を見回した
聞こえてくる金属の衝突音
その発信源と思われる二つの動く影
やがて、煙が晴れてくる
そしてリトの目に映ったのは完全武装状態のフウキくんと――

「奇遇ですね、結城リト」

髪の毛を刃に変身させた金色の闇と呼ばれた少女だった
リトは神様を呪った

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